自閉症情報 自閉症情報、アスペルガー症候群 、高機能自閉症
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
定義
アメリカ精神医学によるDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental disorders)によると 第一軸の「通常、幼児期、小児期、または青年期に初めて診断される障害」における広汎性発達障害(pervasive developmental disoders)に位置づけられている。
自閉性障害の基本的特徴は3歳位までに症状があらわれ、以下の3つを主な特徴とする行動的症候群である。
- 対人相互反応の質的な障害
- 意思伝達の著しい異常またはその発達の障害
- 活動と興味の範囲の著しい限局性
原因
現在では先天性の脳機能障害によるとされており、多くの遺伝的因子が関与すると考えられている。保護者の教育や生まれ育った環境が原因で自閉症になるということはあり得ない。
- フランス・パスツール研究所の研究チームが、フランス国立医学研究機構およびスウェーデン・イエーテボリ大学と行った共同研究では、自閉症者の脳内で遺伝子「シャンク3(SHANK3)」に異常があることが指摘されている。ただし、研究チームからはシャンク3で自閉症の全ての症状を説明できるわけではないと警告が発せられており、主要な社会的障害についてある程度説明ができるかもしれないと述べるにとどまっている。
- 父親が中高年のときに授かった子供である場合、新生児が自閉症になりやすいとする近年の米国の研究がある。同研究によると、父親が40歳以上の新 生児は、自閉症や関連の症例が30歳未満の父親の場合の約6倍で、30〜39歳の父親と比較すると1.5倍以上であったとされている。一方、母親について は、高齢者で多少の影響を及ぼす可能性は排除できないものの、子供の自閉症に与える影響はほとんど認められなかったとされている[1]。
- 日本の独立行政法人理化学研究所は、神経細胞の生存や分化に重要な神経栄養因子の分泌を調節する遺伝子(CADPS2遺伝子)の異常が、自閉症の発症メカニズムに関係しているとの研究成果を発表している[2]。
分類
自閉症は症例が多彩であり、健常者から重度自閉症者までの間にははっきりとした壁はなく、虹のように境界が曖昧であるため、その多様性・連続性を表した概念図を自閉症スペクトラムや自閉症連続体などと呼ぶ。
知的障害を伴う場合が多いが、知的能力(一般的にIQで判断される)が低くない自閉症のことを高機能自閉症と呼ぶことがある。また、知的能力の優劣に関わらず、一部の分野で驚異的な能力を有する場合もあり、その驚異的な能力を有する者をサヴァン症候群と呼ぶ。なお、「高機能自閉症」と「アスペルガー症候群」、「低機能自閉症」と「カナー症候群」は基本的には類似しており、臨床的には区別がつきにくい場合が多い(DSM-IV、ICD-10では言語障害がないものをアスペルガー症候群、言語障害があるものを自閉性障害、小児自閉症(カナー症候群)と分類する)。本記事では同一のものとして扱う。
分類図
この図は一般的な自閉症スペクトラムを表しきっているわけではなく、知能指数と自閉傾向の強弱のみによる分類図にすぎない。
高機能自閉症
自閉症スペクトラムのうち、知的障害がないもの(一般的にはIQ70以上)を高機能自閉症(知的遅れのないカナータイプ)やアスペルガー症候群(言語障害は無いが、視覚認知・空間認知力に、問題を生じる)と呼ぶことがある。「高機能」というのは知能指数が高いという意味であるが、平均的な健常者より高いとは限らず、知的障害との境界域の場合もあれば、一部平均的な健常者をはるかに上回る場合もある。1980年代以降、急速に認知されてきた。
「アスペルガー症候群」も参照
サヴァン症候群
詳細は「サヴァン症候群」を参照
一部の自閉症児者は、カレンダーも見ずに何千年も前の特定の日の曜日を瞬時に答えたり、驚異的な記憶力を有していたりする、いわゆるサヴァン症候群 と呼ばれる能力を持つ場合もある。しかし、サヴァンでなくても大なり小なり特異な才能を示す事が多いため(例:線描、裁縫など)、どこからをサヴァンと言 うかが非常に難しい。
症状
言語の発達の遅れ、対人面での感情的な交流の困難さ、反復的な行動を繰り返す、行動様式や興味の対象が極端に狭いなどの様々な特徴がある。
喋らなすぎるにせよ、喋りすぎるにせよ、プロトコルの互換性が低いがために対他的コミュニケーションポートが相対的に“閉じ”気味の存在であることは、あらゆる自閉症児に共通する。
「自閉」という言葉から、他者とのかかわりを一切持たない、寡黙というイメージを連想することもあるが、実際の自閉症の場合は、一般的に恥ずかしいと思って秘密にするような事でも正直に話してしまうなど、むしろイメージ的には自閉とは逆の「自開」である[要出典]という人もいる。
日常生活における困難
当事者が普段の生活で気になる・困る事項は下記のようなものがあげられる。
- 同一性が保持されない。
- (例)本棚の本が巻数ごとにちゃんと並べてない。(一見乱雑だが、本人のこだわりとして寸分違わず物を配置していることもある)
- (例)同じ時間にくる電車・バスだが、形式等が違う。(細部であっても許容できない場合もある)
- 未経験、予想外の状況、急な予定変更。(特に本人にとって不都合な事態が生じた場合)
- (例)学校などで行事のため普段と日課が変わってしまった。
- (例)楽しみにしていた行事が突然中止になった。
- (例)気に入っていたおもちゃなどが紛失・破損してしまった。
- 本人のこだわりが内的要因、外的要因問わずできなくなってしまう。
- (例)周囲の人が本人のこだわりと理解していないため、その行為をやめさせてしまう。
同一性の無さや、先の見通しが立たないこと、自分のやりたいこと(特にこだわり)が実現できないことに非常に不安、ストレスを感じる場合が多く、そういったことに対するストレス耐性は強くない人が多い。
ストレスが過度に高まった状態で、さらにストレスを増加させる事態(普段は本人も気にしないような日常の些細な出来事でも)に遭遇すると、それをきっかけに突然「パニック発作」を起こしたり「自傷・他害行為」を行うこともある。ストレスの原因が取り除かれる、あるいはパニック行為が終わった後は普段の状態に戻るが、情緒の不安定さはしばらく続くこともある。
しかし、事前に連絡を受けていたり、詳しい内容を把握できていれば、大抵のことは納得して受け入れられる当事者は多い。
診断
医学的には、DSM-IVかICD-10の診断基準により診断される。なお、知的障害の有無は診断に関係ない。
診断名について、一般に「自閉症」と呼ばれる場合には、DSM-IVでは「自閉性障害」「アスペルガー障害」「他に分類されない広汎性発達障害、 PDDNOS」、ICD-10では「小児自閉症」「アスペルガー障害」「非定型自閉症」と診断される。いずれのカテゴリーも、「広汎性発達障害」の下位カ テゴリーである。なお、「高機能自閉症」というカテゴリーはDSM-IV、ICD-10では無い。
「自閉症」という言葉には様々なイメージがあり、中には誤っているイメージも多い。このため、医師が親に話すときに「自閉症」という言葉を使うと、親が誤ったイメージを持ってしまう危険がある。このため、より広い概念の「広汎性発達障害」という言葉を使う場合もある。
主な検査法
脳波や、行動などで判断する。
- 言語検査
- イリノイ式言語学習能力診断検査(ITPA)
- 絵画語い発達検査(PVT)
- 国リハ式<S-S法>言語発達遅滞検査
- 行動検査
- ブラゼルトン新生児行動評価法(Brazelton Neonatal Behavioral Assessment Scale ; BNBAS)
- 発達検査
- 乳幼児発達スケール
- 遠城寺式乳幼児分析的発達検査
- 津守式乳幼児精神発達診断法
- TK式幼児発達検査
- 改訂新版幼児総合発達診断検査
- 改訂日本版デンバー式発達スクリーニング検査
- 早期発達診断検査
- 新訂版自閉児・発達障害児教育診断検査
- 新版K式発達検査
- 日本版ミラー幼児スクリーニング検査
- 絵画検査
- DAP(人物画)
自閉症スペクトラム指数(AQ)
自閉度(自閉症傾向)を測る指標の一種[9]。正常知能の成人を対象にしており、自己回答方式で、自分の「自閉症傾向」を測ることができる[10] [11] [12]。
ただし、AQは「診断ツール」ではなく、自閉症傾向のスクリーニング用ツール、つまり、自閉かどうか診断する前の、おおまかなふるい分け用のツールなので、AQだけで自閉症であるかどうかの診断はできない。
- AQ測定による調査でわかったこと
- 自閉症スペクトラム指数のカット・オフ点
- 自閉症スペクトラム指数で高得点(33点以上)をとった学生12名を診断したところ、12名中7名が自閉性障害またはアスペルガー障害の診断基準にあてはまった(ただし、生育史が不明であることと、現在不適応を起こしていないため、自閉性障害とは診断されていない)。
- 自閉症スペクトラム指数33点以上には成人のアスペルガー症候群・高機能自閉症者群の9割近く(87.8%)が含まれるのに対し、健常群で33点 以上をとるのはわずかに3%弱であることから、自閉症スペクトラム指数のカット・オフ点(健常者と自閉症の識別点)は33点と決定された[14]。
- アスペルガー症候群の診断スクリーニングとして使用する場合、スコア26以下で有効に除外可能であることが示唆される[15]
- 自閉症の極端男性脳理論
- サイモン・バロン=コーエンは、自閉症スペクトラム指数の調査結果から、「自閉症の極端男性脳理論」を提唱した[16][17]。
治療
現代医学では根本的な原因を治療する事は不可能とされている。 「TEACCH」「ソーシャルスキルトレーニング」などの各種プログラムなどによって、健常者に近い社会生活が送れるようになる場合もあるが、これらのプログラムは本人の社会生活における困難を軽減するものであって、根本的な原因が治癒したわけではないとされる。
原因が完全に究明されていない現在、疫学・予防策は確立されていない。
日本での社会的影響
病気概念
「自閉症」の語感から、内気な性格やひきこもりに至るような精神状態、うつ病の事を含んでいるように思われ、しばしば混同される事もあるが、これは自閉症に対する誤った認識である。
一部の創作作品では不適切な意味で「自閉症」を誤用したり、また後天的な自閉症の存在をほのめかす描写がされる場合がある。
- ロックバンド黒夢の曲、『autism-自閉症-』[21]。
- 「自閉症」という言葉の意味を歌詞内で取り違えていたことにより、自閉症協会から抗議を受け、曲自体が絶版となる。ただし、この曲は自閉症患者のことを歌ったものではなく、当時のレコード会社を批判した歌である。
原因
- 遺伝子の異常が原因だとの説、水銀などの重金属の蓄積が原因だとの説[22]などがある。ただしMMRワクチンに含まれる水銀化合物が自閉症の原因であるとする論文はデータに捏造があったことが発覚した[23]。一時期、七田眞や岩佐京子らによって「テレビの見せすぎが自閉症の原因」などの環境原因説が流行し、自閉症の子を持つ親は周囲から責められてつらい立場であったが、現在ではごく一部の学者以外は、自閉症は先天性の障害であり、育て方が原因ではないとしている(岩佐はのちに自説を一部撤回)。
- 日本ではベッテルハイムの著書「虚ろな砦」が広く読まれたため、未だに自閉症は虐待や過保護が原因である「母原病」であるとの認識が一部に根強い。
- 日本大学文理学部体育学科の教授である森昭雄が2004年〜2005年前後にかけ、ゲーム脳に ついての講演の中で、自閉症を持つ子どもたちを「おかしい子ども」の一言で表現したうえ、「未熟な状態である赤ちゃんの頃から朝から晩までテレビを垂れ流 して育てると、正常に育たず自閉症的な子供として育つ。」「最近自閉症の人数が増えているが、先天的なものは非常に少ない。テレビやビデオを見ている子ど もは自閉症の状態になることがある。」と発言していたように、近年でも大学教授でさえ誤った認識を持っていた例がある。
福祉制度
日本では2005年に発達障害者支援法が施行されるなど、高機能自閉症患者に対する福祉の整備が進められている。また、公式には対象外だが、実務上は療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の取得や障害年金の受給が認められる場合もあり、自治体によっては自閉症者にも療育手帳等が交付されている。
Wikipediaより引用